著作権についてまとめてみた

今日からブログを書いていくわけですが、このブログを書いていく過程で自分が知らん間に著作権侵害とかして訴えられたら嫌やなーとか思っていたら、先日大学の授業で「著作権入門講座」なるものがあったので受けてみました。

 

・1回だけの単科

・土曜

・単位認定とか一切なし

・希望する人だけ

 

という授業だったため、ゼミとかもない自分にとってはにとっては珍しい少人数授業だったのですが、それが「先生との距離が近く、授業中でも気軽に質問できる」「生徒に合わせて進めてくれる」

などとても良い授業だったので、少人数授業って良いなーって思いました(笑)希望制だから受講生徒のモチベーションが高かったというのもあるんでしょうけど。

 

そんなこんなで、著作権についてちょうどいいタイミングで勉強することが出来たのですがこのままだとそのうち忘れそうなので、ブログに書いて何度も読み返せるようにしたいと思います。授業の内容=著作権についてのあれこれは全部事実なので著作権侵害にも当たらないし。

 

では書いていきたいと思います~

 

 

 

目次

  • 1.そもそも、著作権法の目的
  • 2.著作者とは
  • 3.著作者の権利
  • 4.著作権の制限について
  • おまけ:著作物の伝達者の権利

 

 

 

 

1.そもそも、著作権法の目的

著作権法第一条
この法律は、…、もって文化の発展に寄与することを目的とする

文化的所産の(=作品)の公正な利用に留意 ←→ 著作者等の権利を保護する

↑両者のバランスを取り、文化の発展に寄与する。

 

第十七条

著作者は、著作者人格権並びに著作権を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

著作物の創作と同時に登録も公示もされない独占権が発生する。

→→著作物とは?

第二条
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。

→文芸、学術、美術、音楽の4ジャンルのみ。

 ・データ、事実
 ・キャッチフレーズや俳句、等のありふれた又は単純な(≒短い)表現
 ・アイデア
 ・実用目的の工業製品等のデザイン

これらはすべて著作物とはみなされない。

 

著作物の具体例
1 言語の著作物:小説、詩、脚本、論文、ブログ...
2 音楽の著作物:楽曲、歌詞
3 舞踊又は無言劇の著作物:ダンス、バレエ、歌舞伎などの振付け
4 美術の著作物:絵画、漫画、イラスト、彫刻、生け花...
5 建築の著作物:芸術性、メッセージ性を備えた建築物
6 地図又は図形の著作物:地図、設計図、立体模型、地球儀...
7 映画の著作物:映画、テレビ番組、ゲーム...
8 写真の著作物:写真、グラビア
9 プログラムの著作物ソースコード、ソフトウェア...

 

例外に当たる著作物
i)  二次的著作物:翻訳、編曲、映像化...によって創作されたもの、
          はたまた、二次創作、同人誌...など

二次的著作物の著作者に著作権が発生、原著作物の著作者には著作権は発生しない。

(第十一条)

ii) 編集物:新聞、雑誌、辞書、単語帳、電話帳...など
(第二条1項十一号、第十二条

 

 

著作物の範囲は?
次の3つのうちいづれかの条件を満たすもの。

 

1 日本国民(法人含む。)の著作物
2 最初に国内において発行された著作物
3 ベルヌ条約により日本が保護の義務を負う著作物
(第六条)

 

が著作物に当たる。

ただし、


憲法その他の法令
・国、地方公共団体の期間、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他
・裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
・前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
(第十三条)

 

 これらは著作物には当たらない。

 

 

2.著作者:

 →著作物そのものを創作する人

 

逆に、

 

×企画や、原案を立案しただけの人
×創作のアイデアや助言をしただけの者
×著作物制作の単なる発注者、資金の提供者
×補助的な役割を担っただけに過ぎない人

 

これらは著作者とはみなされない。

 

※ある法人において、仕事で創作された著作物→法人が著作物を創作したものとして扱われる。
 =職務著作・法人著作

 

 

 

3.著作者の権利


著作権」 + 「著作人格権」 の2つを享有する。

 

?2つの違いは?
著作権:全部または一部を譲渡できる
著作人格権:譲渡することができない

 

 

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図1 「著作権テキスト(2019年度)」(文化庁著作権課)p.3より引用

 

 

著作人格権とは?

 図1の通り、3つの権利で構成される。第十八~二十条に該当


1 公表権:著作物を無断で公開されないための権利
2 氏名表示権:著作物に著作者の望む氏名を表すための権利
3 同一性保持権:無断で著作物に手を加えられないようにするための権利

 

著作者死後も、著作人格権侵害となる行為は禁止されている。

 

 

著作権(財産権)

図1の通り12個の権利がある。第二十一~二十八条に該当
このうち、特によく問題になる複製権について

 

複製権:著作者がその著作物を複製する権利

 

第二項1条十五号

 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること

 

(新しく創られた者をAとする)

  Aが既存のある著作物に依拠している=Aを見てすぐにその著作物と同じだと思わせるレベルだとアウト。


 ※内容や形式が「似ている」のレベルだと、複製権の侵害にはならない。

 

 

また、二次的著作物の創作権の1つとして翻案権がある。

 

翻案権:既存の著作物に依拠しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情の創作的表現を加えることで、別の著作物を創作する権利
  
 →既存のアイデア、事実、ありふれた表現の利用→○
  既存の著作物の独創的、唯一無二な表現の利用→×
  

 ・独創的、唯一無二な表現をそのまま使う(模倣) →複製権侵害
 ・ 創作的な修正を加えずに利用する(複製) →複製権侵害

 ・独創的、唯一無二の表現を使っているものの、新たな創作的(=独創的、唯一無二の)表現を加え、著作物を翻案していると評価できる場合 →翻案権侵害

 

 キュレーションサイトも出所が無ければNG、違法となる。

 

著作権の存続期限


 → 著作者の死後70年間、存続する。

 

無名、変名または団体名義の場合
 → 著作物公表後70年間、存続する。

 

 ・映画 → 公表後70年、 

 ・連載作品 → 最終話公表後70年

 

 ※保護期間の起算日は、1月1日となる。
 ※戦時加算特例法など例外有り。

 

著作者が死亡し、存続人がいない場合、著作権は消滅する。

 


著作権の侵害となる行為


・正当な権限なく、著作権法が定める利用行為(第二十一~二十八条)を行う
・著作者の同意なく、著作物の公表(第十八~二十条参照)を行う
著作権隣接者の許諾なく、九十条の二~百条に定める行為(実演、放送、レコードに関して、著作権法が定める諸行為)を行う。

 

 民事上の措置→差止請求、損害賠償請求、名誉回復措置請求、等の権利行使が出来る。


 cf.著作権登録制度:著作物の第一発行年月日の登録を受けておくことで、立証負担の軽減を図ることが出来る。

 

 刑事上の措置→10年以下の懲役もしくは、1000万円以下の罰金、またはこれらの併科(両方)

 

 

 

4.著作権の制限について
 →著作物の過度な利用制限は文化の発展を阻害する恐れがある。そのため、著作者の許諾なしに、他人の著作物を利用できる場面が決められている。

 


許諾なしに他人の著作物を利用できる行為

 →主に3つ

 

個人的な利用に関するもの


引用や転載に関するもの
教育目的に関するもの

 

その他


・付随的な著作物の利用
・報道目的
・福祉目的
・美術作品等に関するもの
・プログラム、電子計算機に関するもの
・国の機関等に認められる行為
・図書館等に認められる行為
・放送局等に認められる行為

 

 

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図2 「著作権法の一部を改正する法律 概要説明資料」(文化庁)p.6より引用

 

 

1 個人的な利用に関するもの
 以下のすべての条件を満たすとき、複製が可能になる

 

・家庭内など限られた範囲で、仕事以外の目的で使用する
・使用する本人が


複製
する
・複製機器が、コピーガードを解除して複製するものではない
・公衆の使用のために設置されている自動複製機器を用いない
著作権の侵害を知りながら、ネット上の音楽や映像をダウンロードするのではないこと

 

 →他人から頼まれて、自炊(紙→デジタルデータへと変換すること)をするorしてもらうのはNG
  ただし、自分で自分がデータ化したいものを自炊するのはオーケー
  また、海賊版のダウンロードは、それが違法と知らずにしてしまった場合は大丈夫だが、違法と知りながらやってしまうとアウト

  つまりこれを読んでいる人はもうダメー

 

また、以下の場合は、著作権者からの許諾を得ていない利用が可能

 

・引用する場合、引用本がすでに公表されてる著作物であるとき
公正な慣行に合致する(引用の必然性や、引用部分が明確であること等)
・引用箇所が正当な範囲内である(必要最小限、引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確)
出所が明示されている

 

例)
引用部分を『』で括るまたは斜線など引用部分を区別できる書体にし、注番号をふった上で文末にまとめて出典元の文献名、引用箇所を明記する。
引用部分とそれ以外の間を数行空ける。

(例。書ければ)

 

 

※歌詞のブログ掲載について
よくグレーゾーンと言われる歌詞の無断掲載について

 JASRAC管理楽曲の歌詞を掲載する場合、個人ブログでは違法であり、JASRACへの許諾手続が必要となる。
 ただし、運営事業者がJASRACと許諾契約を締結しているブログサービスの場合、個人ユーザーはJASRACに対し個別に許諾を得ることなく歌詞を掲載できる。


↓に、利用許諾契約を締結しているUGCサービスリストが公表されている。

 

ブログへの歌詞の掲載について JASRAC
https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/blog.html

 

 また海外の曲など、JASRAC管轄外においては個別で著作権者の許諾が必要。
 アーティストによっては無断使用を公認している人もちらほらいるので、引用したい場合は事前にしっかりと調べることが大事。

 

2 教育における利用
 →個人的な利用時と同様、以下のすべての条件を満たすとき可能

 

 ・非営利目的
 ・利用する教員や生徒自身が複製する
 ・授業のための複製である
 ・必要な限度内の部数である(概ね50部程度)
 ・すでに公表されている
 ・著作者の利益を不当に害しない
 ・出所が明示されている

 

 →レポートで他人の論文をコピペしたり、その大部分を引用するのはNG
  

 

無償の上演

 以下のすべてを満たす場合に、著作権者の許諾を得ていない「上演、演奏、上映、口述」が可能

 

・「上演」「演奏」「上映」「口述」のいずれかである
・すでに公表されている
・‏営利を目的としない
・聴衆・観客から料金等を受け付けない
・出演者に報酬が支払われない
・慣行がある場合、出所が明示されている

 

 ちなみに、「歌ってみた」系動画は上の4つのいずれにも含まれないため、実は違法。
 曲自体の宣伝等にもなるので黙認されている模様。

 

 


おまけ:著作物の伝達者の権利

 →実演家、レコード会社、放送事業者等は著作物を伝達し、広める役割を担っており、また需要者に届けるまでに一定の創作的表現を加えている
 そのため、これらにも一定の権利を付与する方が、文化の発展に寄与することが出来る、と考えられている。
実際には以下のような権利が彼らに付与されている。

 

 

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図3 「著作権テキスト(2019年度)」(文化庁著作権課)p.29より引用

 

 

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図4 「著作権テキスト(2019年度)」(文化庁著作権課)p.35より引用



 

まとめ:これらを理解して今後ブログを書く際には著作権侵害をしないようにしていきたい。